本気になった周防のパンチは痛い。
相手が痛い以上にパンチを放った自身が痛い。
本気になった周防は感じやすい。
殴った拳から、蹴られた足から、相手の体温と血と汗とタバコの匂いまで感じることが出来る。
本気になった周防は五感がフルに動いて、ケンカという行為を通して相手を感じ、自分自身の全ても感じられる。
こう書いてるとなんかセックスの事みたいな気がしてきたが、深く考えたら負けだ。
退屈を克服する方法
なので、とべちゃんに『拳に体重以外のものが乗っかってるみてえだぜ』時、周防は今までの自分のケンカが一体何だったのかと、考え直す事ができたらしい。
周囲を見下し言葉や暴力で相手を傷つけて、でも相手が感じる痛みにも、自分の感じる痛みからすらも無神経になっていた。
シャケさんのありがたい説法ととべちゃんのガチ喧嘩を通して、その事に気づいた周防は、目の前にいる相手に対して上だ下だといった認識を持つのはやめ、倒すべきライバルとして正面からガチ対決を挑む事にした。卜部に勝ちたいから勝つ、それ以上の余計な思いは必要ない。
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…ってなことで、遂に周防の思考回路ががっくん水準になってしまった衝撃展開。
がっくんは主人公としては弱くて情けない部類に入るんだろうけど、メンタル的には九島イズムを具現化した様な存在なんだろうね。
理屈は要らない、ヒエラルキーなんか知った事じゃない、やりたいからやる、勝ちたいから勝つ。あくまでガチンコ勝負で。そして何度負けたって諦めない限り真の敗北じゃない。
他の面子がいろいろ斜に構えている関係上、どうしてもネタキャラ扱いになるがっくんですけど、改めて考えてみたら実に王道的少年漫画キャラですよねえ。
だから、がっくん的思考水準になってしまうというのは、漫画的には決して退化でも劣化でもないんです。今までの周防にはアンチヒーロー的な厨臭さがあったけど、今回の周防からは主人公的な凛々しさを感じるんだぜ。
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で。
屋上でとべちゃんと周防がカッコイイ事になっているのを、校庭から見たがっくんはというと。
冗談じゃねえ、余所者なんか引きずり下ろしてやんよ！と短絡思考で突っ走って、
キリオに一撃ステイされましたとさ。
これぞがっくん。まさにがっくん。直情径行なのは悪くないんだけど、もう少し空気を読める人になったほうが…いや、無理な事言っても仕方ないか。
さらに困ったことに、九島にはがっくん的な御仁が多数いるので、がっくん一人倒したところで一度火が付いた狂乱が収まったりはせず、冗談じゃねえ、余所者なんか引きずり下ろしてやんよ！と短絡思考で突っ込んでくる有象無象全てをキリオ一人で食い止めるのは難しい。
と言うことで、シロとタイジと三田さんがキリオにのせられて、有象無象食い止め隊になってしまうというなんだかよくわからん展開へと。
シャケさんでなくとも笑うしか無いなこれは。
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